【2021.3.30】
父親の健康状態と流産リスク
流産リスクについての論文を紹介します。
以前より、受精卵の質は男女で同じように影響することを伝えてきました。
女性だけの問題ではないということです!
「一般の精子検査で問題ないから」ということで、自分はメタボでも大丈夫!とはなりません。
精子の検査も通常検査だけでは見抜けないものもあります。
SCSA(精子クロマイチン構造検査)という特殊検査では、では精子の中のDNA状態を調べ
どの程度の割合で精子のDNAが損傷しているかを調べる検査というのもあります。
その際、精子が酸化ストレスなどで損傷したDNAを持つ精子の割合を断片化指数(DFA)といって
通常の精子検査で異常がない方でも
この検査ででた精子の損傷が高い場合では
受精率や妊娠率が低くなったり
流産率が高くなったりするとも言われているんです!
実際に、肥満の人が増えている昨今、下記の論文が発表されて大きな反響になっています。
妊娠中の母子の健康に、ご主人の体調が大きく関与している事が分かったということです。
残念ながら妊活中の男性の大半は、痩せるために食事内容や栄養状況に注意を払っていないことが多いものです。
メタボの男性は要注意!!
父親に【肥満】【糖尿病】【高血圧】【高コレステロール血症】などのメタボリックシンドロームの病状が3つ以上ある場合、「妊娠の4分の1以上が子宮外妊娠、流産、死産に終わる可能性がある」と米スタンフォード大学のマイケル・アイゼンバーグ准教授の研究グループが発表しました。
『父親の健康状態が流産リスクに関連の可能性』
研究グループが米国の2009年から2016年までの約100万件の保険請求データから
妊娠に関するデータを解析したところ
父親がメタボリックシンドロームの要素を持たないカップルが妊娠を失うリスクは17%でしたが
父親がメタボリックシンドロームの要素を
1つ持つカップルでは21%
2つでは23%
3つ以上だと27%
に増加することがわかりました。
「この研究では父親の健康状態の悪さが流産の原因であることを証明することはできませんが、関連性があることを示しています。これらの発見の臨床的意義は、父親の健康が妊娠に重要な影響を与える可能性があるため、妊娠前のカウンセリングに父親の同席を忘れてはならないということです」
アイゼンバーグ准教授
父親の健康が流産リスクに影響を与えるメカニズムは現時点では不明ですが
今後は父親の健康も含めて不妊治療関連の研究が行われることが増えていくのではないかと思います。
↓論文はこちらから↓ ※英文です、Google翻訳などを活用してご覧ください
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33336240/https://academic.oup.com/humrep/article-abstract/36/3/785/6041183?redirectedFrom=fulltext
肥満とは?
肥満を定義するうえでは、まずBMI(ボディー・マス・インデックス)について理解する必要があります。
BMI= 体重kg ÷ (身長m)2
適正体重= (身長m)2 ×22
という計算式があります。
BMI(Body Mass Index)は肥満の指標として世界的に広く用いられています。
WHOは、BMI 30以上を肥満と定義しています。
一方、日本ではBMI 25以上を肥満と定義しています。
これは日本肥満学会が定義した基準で、日本人の場合はBMI 25を超えたあたりから、
- 耐糖能異常
- 糖尿病
- 脂質代謝異常症
- 高脂血症
- 高血圧
といったいわゆるメタボリックシンドロームと呼ばれるような病気の発症頻度が高まることが理由のようです。
受精卵の父親となる男性の健康レベルが高ければ高いほど
妊娠に対して悪いことはありません!
父親が健康であればあるほど、妊娠に良い影響を与えます!
父親と母親の二人の種から命が授かるんです。
二人での協力はとても重要なことだと今回の論文からもわかると思います。
それに子宝に恵まれた後に、父親が健康でないと
せっかくの楽しみな家族生活がおくれません。
肥満やメタボは生活習慣病のリスクや、心筋梗塞や狭心症のリスクも上がります。
自分自身の状態を見直し、体質改善を図ることは
ご自身のためであり、妊活のサポートにもなり、家族の明るい未来のためになることです。
ご参考になれば幸いです。